[秀才 ★★★★☆]民の見えざる手 デフレ不況時代の新・国富論(大前研一) - 読書の花道。

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民の見えざる手 デフレ不況時代の新・国富論民の見えざる手 デフレ不況時代の新・国富論
(2010/07/14)
大前 研一

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『神の見えざる手』

 これは、アダム・スミスとうい経済学者の有名な言葉です。
 国富論という論文で書かれていた言葉なのですって。

 この言葉をモジったのが本書のタイトルにもある「民の見えざる手」です。

 『神の見えざる手』とは市場経済において各個人が自己の利益を追求すれば、結果として社会全体の利益が達せられるとする考え方の事です。個人が自己の利益だけ追求するとうまくいかないように見えますが、価格メカニズムが働いて最適な資源配分がなされますと。つまり、需要と供給のバランスが神の「見えざる手」によって自然に調整されると考えたのだそうです。

 この『神の見えざる手』をもう少し発展させようとしたのが「官の見えざる手」です。これの代表例が社会主義経済の事で、政府が経済をコントロールするヤツです。
 (ちなみに、社会主義経済は20世紀の100年の間に失敗する事が分かっています)

 で、今は「民の見えざる手」によって経済は動いているそうです。そこで、この「民の見えざる手」とは一体なんなのか。その事について解説したのが本書です。

感想。大前さんの本はやっぱり読みやすい!


 一見、お固い内容に見えますが、実はそんなことまったくありません。いや、それ以上に凄く読みやすくて、分かりやすい。さらに、知らない情報ばかりと来たもんだ。凄く、とんでもなく為になる本だと思いましたよ。特に、日本を取り巻く国(インドネシアやロシア)に膨大なチャンスが眠っているという事がすごくよく分かりました。

 大前さんは世界を知ってるだけに、世界から見た等身大の日本を的確に解説しているのですね。凄いお人です。

 きっと大前さんはやきもきしているのではないでしょうか。なぜ韓国や中国、インドなどは官民一体となって進出しているのに、日本は動かないのか。不景気だと言ってコストばかり削り、目の前にあるチャンスになぜ挑戦しないのか。そういう事に対して。

ではでは、気になった記事を簡単にご紹介します。

たった一人で国は変わる


 一人の人間が経済をひっくり返すこともあります。その代表例が「鉄の女」ことイギリスのサッチャー元首相です。

 サッチャー元首相が登場するまでのイギリスは、今の日本と似たような暗く将来展望のない、”灰色の国”だったそうです。優秀な人材は自国の内実を見て、こりゃだめだ、とアメリカなど海外に新天地を求めました。

 こうした国の衰退に危惧したサッチャーは、「小さな政府」を目標として電話、ガス、航空、水道などの国営企業を相次いで民営化しました。

 その結果、外資が買収に乗り出しイギリスの老舗銀行モルガン・グレンフェルがドイツ銀行に買収され、国内から悲観論が噴出しました。しかし、それでもサッチャーはひるみません。外資に買収されてもこの国の土地までは持って行けない、と切り返しました。

 実際蓋を開けてみると、若手の優秀な人材がモルガン・グレンフェルに殺到し、いきなり人気が高まったのですって。その後、ロンドンのシティが世界の金融センターになったことは記憶に新しいのだそうです。

 サッチャーのやり方を解説すると、「しかし」「けれども」「一方で」といった半端な条件、エクスキューズを認めなかったという点にあるそうです。
 
 「魅力のない企業は潰れるしかない」「そういわずに、うちだけは救ってください」「わが社は特別。例外を認めて欲しい」「お前は失業者が溢れてもいいというのか」という声が出てきます。

 そんな声にもサッチャーは聞く耳を持たず、「潰れる以外に買い手がないんだったら、あなたの企業には魅力がないのだ」「潰れるような事業をまだ続けているんだから仕方がないでしょう」と切り捨てました。

 弱いものは救わない。むしろ潰れる自由を与える。強いものは生き残るし、時には最も力のある資本家が買収する。そのお金を手にするのはイギリスの投資家である。この単純明快な資本主義の理論を押し通し、ロンドン市場を大いに自由化した結果、ロンドンで上場するヨーロッパ企業が大幅に増えたそうです。

 かつてのイギリスは現在の日本は良く似てます。

 一世紀前のイギリス(大英帝国)は、世界一の地位をアメリカに奪われました。大英帝国は1900年にGDPでアメリカに抜かれたのです。それが悔しくてたまらないイギリス人たちは、アメリカに対する妬み、嫉み、恨みを募らせて「あんな野蛮な国は絶対にどこかでひっくり返る」と言っていたそうです。しかし、その100年後、アメリカのGDPはなんとイギリスの10倍にまで拡がりました。

 今の日本もまた、海を挟んだ中国にGDPでも外資準備高でも一気に追いつかれました。大英帝国がアメリカに大きく引き離されたように、今後、日本も中国にどんどん水を開けられるでしょう。

 だからこそ、凋落の一途をたどっていたイギリスが、サッチャーという政治家の登場によって、一転して攻勢に向かったように、今こそ日本にも国民を「その気」いさせる政策やビジネスが求められているのだそうです。

単身世帯を狙え


 日本の世帯状況を調べると、「単身世帯」が3割で急速に伸びているそうです。なので、この「単身世帯」を狙った戦略が必要とありました。

 これを知らずに戦略を立てている企業が何と多いことか。例えば低価格競争をしているスーパーです。低価格化のターゲットは収入が逼迫しがちな「夫婦+子供」世帯です。しかし、世帯の割合を見ると「夫婦+子供」は全体の28%と3割にも達しません。

 スーパーなどの低価格競争は、この3割しか見ていないから引き起こされた現象なのだそうです。

 また、ブランド化した商品を値下げして売るという行為も諸刃の剣だとありました。例えば、マクドナルドです。マックはハンバーガーを定価130円を平日に限り半額の65円で売りました。しかしその結果はさんざん、値下げ以前よりも売上が減ったそうです。

 大前さんに言わせると、これは顧客が「なんだ、マックは65円の価値しかなかったのか」と思ってしまったからだそうです。安売りすることで、価値が下がり、買うに値しないと判断されたのです。

インドネシアの可能性


 BRICsやVISTAなど、新興国の台頭が凄いです。

 しかし、この中には入っていないけども、中国以上の魅力ある市場がある国が紹介されていました。その国がインドネシアです。

 インドネシアは、面積で日本の5倍以上、人口で2倍の2億2800万人です。石油や天然ガスなどの資源も豊富。大前さんは、BRICsじゃなくてインドネシアを入れた「BRIICs」にすべきと言っているくらい魅力ある国なのだそうです。

 現在、インドネシアは内需主導の第2ステージ(第1ステージは低コストの輸出基地)に入ったそうで、日本の言うところの1960年代なのだそうです。カラーテレビ、クーラー、自動車の3Cが爆発的に売れたあの時代です。そんな時代にインドネシアは差し掛かっているとありました。

 そんなインドネシア、なぜこれまで埋もれたかといいますと、世界最大の島嶼国家(たくさんの島からなる国)という事、多様な種族・言語・宗教がある事や、政治不安定などが挙げられます。しかし、2009年にユドヨノ大統領が登場してから国のスタイルが一新しました。

 インドネシアでは、脱税や官僚による腐敗が横行してました。これを解決すべく取った行動が秀逸。

 まず、脱税については、今申告すればその罪を不問とする”刀狩り”によって、税収を1.5倍にまで引き上げました。

 官僚の腐敗については凄くて、何と官僚の給料を3倍に引き上げたそうです。国民は大反発しそうですが、お金に不自由することが無くなったものですから、腐敗が少なくなったそうです。

 こうした手腕が海外の投資家に買われ、海外からの投資が殺到しているそうです。

 また、このユドヨノ大統領は2014年まで任期が残っているので、長期間の安定を期待した動きとも言えます。

 インドネシアに進出した国も数多くあり、オートバイのホンダやヤマハ、紙おむつなどのユニ・チャーム、ポカリスエットの大塚製薬(国民的なドリンクなのですって!赤道直下だから美味しく飲める!)、都市再建事業の鹿島建設、アステラス製薬などです。

 そもそも、インドネシアは超・親日国です。インドネシアの好きな国のTOPは日本で75%にも及ぶそうです。その背景には、インドネシアに取って日本は最大の貿易相手国であったり、最大のODA供与国だったりする事が影響します。

 インドネシア企業の部課長クラス以上の人はみんな英語を話せますから、進出しやすいと紹介されてましたよ。

ロシアお客様論


 大前さんがどの本でも一貫して提言している、ロシアをお客様として接することで日本に多大なメリットがありますよ、という話です。

 ロシアといえば、北方領土問題です。しかし、ロシアはこの北方領土にあまり魅力を感じていないそうです。その事を象徴するのが、過去にプーチン大統領が3.5島の返還を検討したことです。(0.5島を残したのは、外交カードとして残したかったからでしょう)。

 ロシア側は早く北方領土問題を解決して、日本の協力をノドから欲しているのです。というのも、ロシアにとって日本は欲しいものだらけの国だからです。漁業関係なら、古野電気の船舶用電子機器(レーダー、ソナー、漁業探知機、GPSなど)や、ドライスーツ、漁網など。

 エネルギー関係で言うと、原子力技術やパイプライン用のシームレスパイプ(日本が世界一の技術を持っているそうです)などなど。

「民の見えざる手」によるクーデター


 もうね、日本の政治はダメダメですと。

 野党時代の民主党は、自民党に対してかなりまっとうな指摘をしてました。が、与党になったとたん、自民党と同じ利権政党に早変わりしたのを多くの人が目撃しました。史上最大の無駄遣い予算と意味不明のバラマキを何の躊躇もなくやっちゃいましたからね。

 もうね、公約とか、野党時代の姿勢とか、選挙演説とか何を信じれば良いかわかりません。

 もうこうなったら、クーデターです、クーデター。クーデターといっても武器を取るんじゃないです。

 大前さんが考えた知的クーデターを起こすのです!

 その概要がこれです。
 (1)まず共通認識を持つ
 (2)国債から資金を移動する
 (3)自治体が動き出す


 (1)については、この国がなぜ長期低迷に陥ったのかを理解するところから始まります。政府に任せていたり、税制議論で机上の空論を繰り返したりしていても状況は良くならない、という事を認知する必要があります。

 (2)については、貯蓄を減らす事です。でもちょっと待った!みんなが一斉に貯蓄を切り崩し、他の金融資産に移すと国債が暴落してしまうので、(1)を理解した人からちょっとずつ移行しましょう、とありました。借金とかモノはインフレに強いそうなので、インフレになる前に現金をモノや借金に変えましょう、とのことです。

 (3)については、民主党の政策である「基礎自治体」構想の実現です。基礎自治体とは、人口30万人を1つのグループとして、日本全国300の自治体に分けるというヤツです。これを実現すれば、自治体ごとの多様性が生まれて面白いことになるとありました。

★★★
 今回もボリュームたっぷりの内容で、本当はもっともっと紹介したいことがたくさんありました。でもそうすると、本当に殆どの内容を書き写す必要が出てくるので、これこそは!というものだけに厳選して紹介したつもりです。

大前さんは、いい感じです。

それでは、また。
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