近代ロシアの実情、およびこれからのロシアとの付き合い方について解説された本です。
ロシアと言えば北方領土問題
ロシアと言えば日本の敵。理由は、ロシアが実効支配している北方領土問題があるからです。この問題が解決するまでロシアと国交を回復することはなるものか!、というのが政府の考えです。
第二次戦後から60年以上同じ立場を日本は取ってきました。北方領土は歴史的に見ても日本の領土です。だから早く返しなさい、と。
おそロシアも当然、北方領土はロシアの領土だ!絶対に渡さぬ!!!と思っている、、、のかと思ったら実はそうじゃないそうです。結構どうでも良い領土なのだそうです。というのも、ロシアにとって北方領土を含む極東地域は経済的にも資源的にも重要ではないからですって。
だから、まぁ返しても日本さんがそこまで言うのなら返しても良いかも、という雰囲気が過去にはありました。ありましたが、日本が
「不法占拠だ!」と逆なでするようなというものだから、へそを曲げて逆に返したくなくなっているのが今の現状なのですって。
また、ロシアがまだ不景気だったころ(ソ連が解体した時とか)であれば、お金で解決可能でしたが、発展著しい今のロシアの現状では、それも難しいそうです。かなり魅力的な対価(たとえば、原発やシベリア鉄道開発など)を払わないと交渉できないのではなかろうか、という状態なのだそうです。
北方領土の解決策として
大前さんが考える、北方領土問題の解決策は国連信託統治領という方法なのだそうです。よくわかりませんが、中立的な領土になるということでしょう。そこで仲良くしなさい、という事なのだそうです。
ロシアには旧ソ連の領土がたくさんあります。そうした国が集まったのがソビエト連邦でした。それらの領土にはたくさんのロシア人がいます。もし、いろんな領土の人たちが独立を宣言するとそうした地域のロシア人が迫害される危険性があるのだそうです。ですから、ロシアはロシア人が住んでいる地域の独立には大反対なのだそうです。
こうした背景から、北方領土問題を解決する場合すでに住んでいるロシア人問題の解決が急務なのだそうです。そうしたロシア人問題を解決するのが、国連支度統治領なのですって。
「共同運営の自治体」を作ると良いと書かれてました。
ちなみに、ロシアは過去に中国とも同じような領土問題がありました。しかし、2004年にロシアが妥協する形で解決したそうです。問題の領土はもともとロシアが実効支配していました。しかし、その領土を中国と半分こするという妥協案を提示してお互い納得したそうです。中国と仲良くすることが大切だという、大人の対応をロシアが見せたとありました。
日本政府は北方領土を現実的に実現可能な方法で解決する方向にシフトする事が重要ということです。
ロシアは無条件に日本好き
BRICsあるじゃないですか。この中で、一番親日国はどこかというと、ロシアなのだそうです。ブラジルかと思ってましたが、そうじゃなくてロシアなのだそうです。
そもそも、ロシアには国産主義、という概念がないそうです。
日本だったら、日本製を無条件に買うじゃないですか。アメリカでもトヨタよりGMやフォードでしょう。しかし、ロシアはそうじゃないのですって。この理由としまして、資源が大量にあるからだそうです。良いものは金で買えば良い、その代わりに自分の国にも強いものがあるぞ、というメンタリティなのだそうです。
では、良いものとは何かと言うと、そりゃもう高い付加価値を持った日本製に行きつくのだそうです。日本では、ベンツやBMWがセクシーじゃないですか。良いの乗ってるなー、というステイタスです。これが、ロシアになると何と三菱の「ランサー」が該当するのですって。これには驚きました。
ちなにに、ロシアの車の売り上げ順を見るとアメリカのシボレーやフォード、韓国の現代(ヒュンダイ)です。
あれ?日本車は?
と思われるでしょう。実は日本車は売り上げ的に見ると上位にいないそうです。なぜか、それは高付加価値を持った車だからです。その証拠に、日本車は高価格層(1万5000ドル以上)で独壇場になっているのだそうです。低価格層ではさすがに日本は太刀打ちできないので、高付加価値の車で勝負しているのですって。この高価格層の車の中で一番売れているのが三菱のランサー(ランサーXも含む)なのです。
ロシアはIT超大国
ITに強い国と言えば、なんとなくインドを想像させます。あすこの国は、カースト制度に縛られない将来性のある職業としてITに人が集まっています。そのインドとロシアを比べてみると、なんとIT新卒技術者がほぼ同じ人数なのだそうです。人口にして、ロシアのほぼ10倍もあるあのインドと同じくらいITに力が入っているのだそうです。
そもそも、旧ソ連にはハイテクに強い人材がたくさんいました。しかし、ソ連崩壊によりその人たちは、外国に逃げたり、畑違いの仕事などをしていたそうです。しかし、2000年にプーチンがロシアのTOPになってから、変革がありました。プーチンの奇跡とも言われる、ロシアの急成長です。この急成長により、旧ソ連の優秀な人材が戻ってくるようになりました。そうした人たちがこれからITに注力し始めます。その結果、とんでもないIT超大国になるぞぅ!と紹介されてました。ちなみに、グーグルの創始者もロシア人ですって。
ロシア人の平均寿命
これが一番驚きだったのが、ロシア人の平均寿命についてです。その年齢は、
59歳!! 59歳なんて、日本だとまだまだひよっこです。ようやく、第二の人生を迎えるにあたり、ワクワクしている時です。こんな時に寿命が尽きるなんて、悲しすぎます。
ロシア人がどうしてこんなにも(日本人から見ると)短命なのかというと、それはウォッカをがぶ飲みするからだそうです。ウォッカは超アルコール濃度なので、そのせいで長く生きられないのだそうです。
こうした59歳という平均寿命という事から、老後にお金を貯金するという考えがありません。消費、消費の大合唱です。さらに、もともと共産主義の社会主義制度で限られた収入しかありませんでしたから、資本主義に移行したロシア人はさらにもっと消費するのだそうです。そうした理由から、経済が大回転し経済成長しているのだとありました。
★★★
大前さんの本にはちょくちょくロシアが登場してきます。そして、ロシアは大お客様、という考えを述べています。その理由が、この本で理解できました。ロシアの未開拓地である極東。ここを他の国にとられる前に、日本がとるべきという事がよくわかりました。ただ、ロシアはまだ日本と同じく中央集権で、さらに古き悪習であるワイロや腐敗が横行しているそうです。そうした理由から、ロシアに進出する場合はそうした実情を理解していかないと、NGだとありました。
それでは、また。
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